私の父は自営業者だったが、一般的に「自営業者」という言葉の持つイメージとは対極的な浮世離れした所のある人間だった。だから、自分が自営業者の息子として育ったことが、自分の世界観に影響を与えていると考えたことはなかった。 だけど、最近になって、いろいろな人と世間話として仕事や景気の話をしている時に、やっぱり自分は自営業者の息子なのかもと思うようになった。 というのは、私は「働いて収入を得る」ということの基本的なモデルとして、客に一杯のラーメンを出して「ごちそうさま」と言われながら500円玉を受け取ること、というようなイメージを持っている。ラーメンがうまければ収入が上がるし、ラーメンがまずければ収入が下がり場合によっては失業する。 これを意識したことはなかったが、意識してみると、巨大な組織の中で組織の一員として働いていても、この「ラーメンモデル」の延長として自分の仕事を見ていたような気がする。