東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)で生じた汚染水を浄化処理した水の海洋放出が正式に決まった。放射性物質トリチウムが含まれるため漁業関係者らは反発を強めるが、実は首都圏には、福島第一に保管中の「処理水」に含まれるトリチウムの5倍以上を海に流してきた原子力施設がある。日本原子力研究開発機構の東海再処理施設(茨城県東海村)だ。廃止措置に入った今も排出は続いている。(宮尾幹成) トリチウムは、汚染水を浄化処理する多核種除去設備では取り除けない。経済産業省によると、福島第一の処理水に残留するトリチウムは約860兆ベクレル。処理水は今後も増え続ける半面、海洋放出は30年程度かける計画のため、その間に半減期12・32年のトリチウムは一定程度消滅する。 東海再処理施設は1977年から2007年まで、新型転換炉ふげん(福井県敦賀市、廃止措置中)や原発の使用済み核燃料を再処理した。30年間の処理量は