僕(ぼく)が最初(さいしょ)に「彼(かれ)」と会(あ)ったのは、長(なが)い坂道(さかみち)の途中(とちゅう)でした。塾(じゅく)に向(む)かっているところでしょうか。大(おお)きなカバンを背負(せお)いながら、彼(かれ)は頑張(がんば)って自転車(じてんしゃ)を押(お)して坂道(さかみち)を上(のぼ)っていました。 その時(とき)です。すぐとなりをすごい速(はや)さで車(くるま)が通(とお)り過(す)ぎて行(い)きました。 「危(あぶ)ないなあ」 後(うし)ろの座席(ざせき)にチラッと見(み)えたのは、同(おな)じ塾(じゅく)の友達(ともだち)のうしろ姿(すがた)でした。 「いいなあ。うちはお母(かあ)さんが働(はたら)いているからなあ。俺(おれ)が金持(かねも)ちだったら、だれかに送(おく)り迎(むか)えしてもらうのに」 どうやら彼(かれ)は「ひとり親家庭(おやかてい)」で育(そだ)っ
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