【北京=牧野田亨】中国が南シナ海のパラセル(西沙)諸島付近の海域で石油掘削作業を行い、同諸島の領有権を主張するベトナムと激しく対立していた問題で、中国外務省は16日、作業が15日で終了したと発表した。 巨大な掘削装置は中国・海南島に移される予定。 中国側は当初、作業期間を8月中旬までと発表していた。8月に開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)などの会議をにらみ、いったん事態を沈静化させるため、作業終了を前倒しした可能性がある。 担当した国有企業などは地質などのデータ取得が「予定通り順調に終わった」と説明。今後は分析を進め、次の作業方法を決めるという。 中国は5月2日に掘削を開始。ベトナムが激しく反発し、国内で大規模な反中暴動が発生したほか、海上でも掘削装置周辺で両国の船が対峙(たいじ)し、衝突を繰り返した。