重い鉄の扉を横に引き開けると、そこには異空間が広がっていた。整然と並ぶ圧倒的な数のカセットテープ。壁際には磨き上げられたカセットテープレコーダー。そして未体験の厚みを持つ音が、聞いたことのない丸みをも帯びつつ、近くなり遠くなりして鼓膜を撼わす。 東京、中目黒。昼間は保育士が保育園児たちを遊ばせる公園のすぐ先に、その店はある。おそらくは「世界唯一のカセットテープ専門店ではないか」といわれる「waltz」。音楽業界の錚々たるビッグネームたちも足繁く通う場所で、2010年代に入ってからカセットカルチャーが復活していく上でのキープレーヤーにもなった場所だ。世界でカセットテープを作ったり売ったりしている中で、ここを知らない者はおそらくいない。 「waltz」の神話は2017年12月、ハイブランド「グッチ」から「グッチプレイス」に選ばれたことでも決定づけられた。店を偶然訪れた、グッチの現デザイナーアレ
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