夏の風物詩、昆虫採集。それは子どもの遊びとは限らない。7月上旬、厚木市の東京農業大学厚木キャンパスに捕虫網を持った若者40人余りが集まった。昆虫学研究室3年生の実習授業だ。群馬県・武尊山のキャンプ場に合宿し、「昆虫漬け」の3日間を過ごす。 「昆虫を観察するためには、まず捕らえなければならない。採集は研究の第一歩なのです」。通称「昆研」を率いる岡島秀治教授(60)は、そう話す。 昆研は3、4年生と大学院生合わせて約90人を抱える国内最大の昆虫研究拠点。全国から虫好きが集う。「新入り」の3年生は採集、標本づくり、形態学など昆虫学の基礎をたたき込まれる。 採集実習も授業の一環で、評価の対象だ。ノルマは「15目(もく)50科以上を集めること」。例えばカブトムシはコガネムシ科、ノコギリクワガタはクワガタムシ科だが、同じ甲虫目。目の数を増やすにはチョウ目、トンボ目、ハチ目など他の種類にも手を伸ば