人生で一度だけ犯罪者扱いされたことがある。十年前のことだ。僕は犯罪者扱いされ、今でいう「追い出し部屋」に飛ばされた。思い出すだけでまだ怒りがおさまらない。 当時、僕は転職してきたばかりの営業マン。異なる業界からの転職だったのでローカルルールを覚えるのに必死。在籍していたのは資材部の営業チームで、上にはコーダ部長、ハラ課長の二人がいた。コーダ(実名)の口癖「仕事デキねえな」にムカつきながらも、仕事に追われていたし、前の職場に比べてシステムが雑だったので関係各署にあれこれ要望を出したりして煙たがられたりもしたけど、それも含めて新鮮で充実した時間だった。 ある日、経理の入金担当から呼び出しを受けた。入金がおかしいと担当は言った。僕の部署と取引がある顧客だった。入金がないわけでも遅れてるわけでもなかった。ただ入金額が少なかった。請求額とは異なる金額。彼は「既にコーダたちには伝えてあるが状況は変わら