癩病(らいびょう)という病気は、癩菌という病原菌が、皮膚をはじめ、体の各部に浸潤して、体を食い荒らすという病気で、昭和の中頃まで「不治」の病でした。そして、特効薬(プロミン)が発明されたにも関わらず、発病者を娑婆から完全に隔離して、「療養所」に強制的に集めるという策を国は取っていました。 このような偏見は、私が小学生だった1960年代から1970年代にもおおいにありました。担任の教諭が、「癌より怖い病気、それは癩病」「いつか療養所の患者が自由を欲しくて施設を逃げ出したことがある。この病気は皮膚から感染するから、この患者が触った電車のつり革からも感染するぞ」・・・と言った具合。「それは怖い」と心に刻みつけました。ずいぶん偏向した教育だと、よほどあとになって思いました。(この病気は、さほど感染力が強くないのです。) 最近では、癩病という病名自身が差別的だと「ハンセン氏病」という名称が一般的で、