3月9日、現在の国立競技場では最後となるラグビーの日本選手権が行われた。トップリーグ王者パナソニックが、1年間で4度目の顔合わせとなった東芝を30対21で退け、チーム初の2冠を達成した。実にトップリーグのファーストステージ第4節から15連勝で今シーズンを駆け抜けた。 2冠の要因は――。もちろん、伝統の守備を再強化したこともあるが、攻撃でも他チームの追随を許さなかった。昨年の11月上旬、宮崎合宿を敢行。オーストラリア代表のロビー・ディーンズ前監督と、かつてチームに在籍した現ハイランダーズBKコーチのトニー・ブラウンの2人が戦術に磨きをかけた(SH田中史朗が所属するハイランダーズはパナソニックと同様の戦術)。 前提として、現在の潮流は「リサイクルベース」だ。日本代表やパナソニックでは「リロード」とも呼ぶ。ボールを継続する中で、相手の組織ディフェンスに対し、ミスマッチやほころびを作ってトライを狙