「こんなに主人公に感情移入でけへん映画も珍しい。ふつうはだんだん主人公に入れ込んでいくもんやのに、こいつは最後までへたれで自己チューで、おまけに最後は惨めで…」とはY太郎(大学1年)の弁。でも、面白がっていたからいいんではないでしょうか。 エイリアンが大量に難民として南アフリカ共和国に住み着いたら…。そんなとんでもないアイデアで作られたこの映画は、アパルトヘイトを経験した南アを舞台にしてこその、立派な社会派作品。 フェイクドキュメンタリーという手法を使った斬新な構成に、まずはワクワクする。この手法自体は決して本作が初めてではないが、描かれている「事実」がまったく事実無根のSFであるところが素晴らしい。劇中劇のごとくに展開するビデオ映像が、主人公ヴィカスをひょうきんな男として、まるで実在の人物のような親しみを感じさせる。 物語の舞台は現在の南ア、ヨハネスブルグ。20年前に突如現れた宇宙船は、