この本は若き頃の佐藤さんが北方領土返還に全力で挑み、その際に出会った盟友であるサーシャさんとの数十年ぶりの再開が描かれたものだ。 僕はデビュー当時から佐藤さんの作品を追っかけ続けられるという幸運に恵まれたのだが、本書を読むと「ああ、歳を積み重ねるという事は、こういう事なのか」と感慨深く感じさせられるものがある。 偶然なのかもしれないけれど、この本に限らず昨今は人生の総決算をする著名人が多い。 村上春樹は<街と、その不確かな壁>をリバイバルし、自身の第一線からの引退を示唆し、後人に道を託す姿をみせた。 正直作品としての出来は微妙だったが、老体に鞭を打てでも後世にメッセージを託すその姿には、作品自体の出来を超えた価値があったように思う。 宮崎駿も、それまでだったら完全なるファンタジー制作しかしなかったのに、人生の意義や意味といったものを個人の人生教訓をたっぷりと詰めて、視聴者へと問うた。 こち