成功は99パーセントの失敗に支えられた1パーセントだ 経営者のなかで最も愛され親しまれたカリスマリーダーのなかに、本田宗一郎がいる。 今号は愛され続けた技術屋トップの哲学に触れてみたい。 昭和49年5月、アメリカのミシガン工科大学の卒業式で、本田は特別記念講演を行い、出席者に感銘を与えた。この講演の内容は、本田が生涯にわたって貫き通した人生哲学であり、後世の人たちへのメッセージでもあった。 まずその一部をご紹介しながら彼の心に接してみよう。 「私はこの26年の間に、わずか3,000ドルの資本で創立した会社を現在の姿にまで発展させることができました。それは次のような哲学を片時も忘れず、努力してきた結果であると信じております。 その第一は、『技術は人間に奉仕する手段である』ということであります。社会の発展、進歩の主役は人間であります。人間によってつくり出された技術、およびその産物は人