実務とアカデミック界の架け橋を目指す 3月で大学院を修了すると同時に、4月からある国立大学の大学院(MBA)の教員に赴任することとなった。国立大学ゆえに兼業は禁止であり、現在自らが経営している会社はパートナーに任せ、私は今月末を持って代表取締役を辞任する。住いも現在の東京の家を引き払って、家族そろって大学のある地域に引っ越し、まさに心機一転新たなキャリアを歩むこととなる。 迷いがなかったと言えばウソになる。今まで積み上げてきたものをいったん放棄することへのためらいは、当然ながら大きい。ただ、それにも増してこの新たなキャリアを追求したいという思いに駆られた。なぜか。それは、大学院で過ごした時間の中で、アカデミズムの世界に存在する研究の中には、実は実務で転用可能なものが多いことに気づき(金融分野の特性ではあるが)、一方で、それらを実務界に生かす、あるいは伝達する存在が多くはないことを知ってしま