少年時代、極貧のため母に死なれた蒲郡風太郎(がまごほり・ふうたらう)は金錢に強い執着を抱く。長ずるにつれ手段を選ばぬやり口で巨額の富を蓄へ、金の力で政界進出まで果たすが、悲劇的な最期を迎へる。 ジョージ秋山のマンガ『銭ゲバ』(幻冬舎文庫、全2卷)の中身を一言で言ふとかうなる。これだけだと、以前NHKで放送されたドラマ『ハゲタカ』のやうな、よくある見當外れな反資本主義のアジテーションにしか見えないかもしれない。だがさうではない。ぜひ一讀を勸めたい傑作だ。 銭ゲバ 上 (幻冬舎文庫 し 20-4) 作者: ジョージ秋山出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2007/10メディア: 文庫購入: 25人 クリック: 381回この商品を含むブログ (92件) を見る この物語は一見、自由な市場經濟を糺彈してゐるやうだが、讀むにつれ、さうでないことがわかる。たとへば、主人公の「銭ゲバ」こと風太郎が金を手