「書いてもらっていいです」 いきなり校歌のことを聞くのではなく、まずは、監督である小牧憲継にこんな質問をぶつけてみた。 ――昨日、涙がこみ上げてきた瞬間はありましたか。 すると、意外な答えが返ってきた。 「正直、いちばんはですね、校歌を歌ってるときに……」 一瞬、やっぱりそういうものなのかと思った。思い入れがないとはいえ、日本一になって聞く校歌はいいものですねというような言葉が続くのかと思った。 だが、違った。 「関東第一さんの(アルプススタンドからの)手拍子というかですね、あれがすごくね。校歌で波風というか、ハレーションを立てている学校なんで。僕も含めて、大迷惑なんですけど。ははははは。ああやって、野球を極めようとしている人間同士の熱い気持ちっていうか、温かみっていうかね、そこがいちばん感動しましたね」 小牧が本音で、素直に胸の内を語っていることが伝わってきた。今なら聞けると思った。改め