自分は中国で暮らして3年ほどになるが、日本の知人にしばしば聞かれるのは「中国ってどんな国?」という極めてアバウトな問いである。 何しろやたらと巨大な国だけに、ひと言で答えるのは難しい。 しかし、あえて自分が一番伝えたい点を挙げるなら、次のようになる。 「中国とは、路上を歩いていると捨てられた便器を普通に見かける国です」 いやあなた、3年も暮らして出てくる答えがそれですかーーといった反応が返ってくることは承知している。 しかし、自分がわざわざ便器に着目するのは、それなりに理由がある。 結論から先に言うと、街歩き中にふと見かける路傍の便器から、景気動向や人々の生活水準など、さまざまなことを読み取れるからだ。 いわば中国の路上放置便器とは、日本でいうタクシーの運ちゃんが語る景況感のようなもの。 かっちりとした統計ではないが参考に値する情報ソースであり、中国の経済・社会を映し出す鏡でもある。 ゆえ