本書は1982年5月、チベット高原の東端に聳えるミニヤコンカ(7556m)山頂直下から、19日間にもおよぶ苦闘の末、奇跡の生還を果たすまでの手記である。 快晴下での頂上アタック。その幸運に1日分の行動食だけをザックに入れてC5(最終キャンプ)を出るも天気は急変、頂上直下の雪洞でビバーク。翌日さらに前進するも頂上に至らず再度のビバーク。翌日も荒天、1ピッチ半進んだところで撤退を決断する。 進むか退くか、賭けるのは命。頂上アタックまでに何度も繰り返される葛藤、松田は思う。“山登りの戦略に「安全」を持ち込むことは、登る前から登頂の「断念」、したがって、登攀の「失敗」を予測するようなものだ。「安全な登攀」なんてありえない。ありうるのは「確実な登攀」である。” 食料、燃料まったくなしの下山を開始するも、早々にトランシーバーが故障しサポート隊との交信手段を失う。疲労困憊末、ようやくたどり着いたC
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