子供の頃、誰かの創った夢物語に思いを馳せ、仮にこうであったならと想い、結局大人の都合に振り回され続ける現実の自分に嫌気が刺す日々を送っていた。 夢を語れと問われても、それは大人の都合のいい答えが出るまで繰り返される尋問で、明治から続く呉服家業の直系長男の跡取り息子は大人の喜ぶ答えを笑顔で騙った。 そんな自分がSF作品、特にサイバーパンクと呼ばれるような作品に心を惹かれるようになったのは、作品の世界観やテーマが、大嫌いな自分と真逆で、自分の在りたい姿だったからだ。 ハイテク技術で作られたガジェットやサイバーな衣服に身を包む人々の姿が、体制側の力に抗う心が、少年の自分に勇気を与えてくれた。 DJ⑨として生きていく決意に満ちた自分は、実家に中指を立てて、自分の人生を改めて生きることにした。 さて、元・呉服店おぼっちゃまが、一匹狼気取りなサイバーパンク野郎となってから、自由を手にしてまずやったこと