Bリーグ初代王者になってから5年、宇都宮ブレックスが再びティファニー社製の黄金のトロフィーを手にした。 だが、1年前には、違う運命をたどる可能性があった。 「オレが辞めるべきタイミングなんじゃないか」 ヘッドコーチ(HC)を務める安斎竜三はそう考えていた。チームを勝たせるために力を抜いたことなどないが、心身ともにかなりのダメージがたまっていることに気づいていた。 安斎は2017-18シーズンの途中にHCに就任してから、プロアマ混合で日本一を決める天皇杯の決勝で2回涙を飲んでいた。昨季は就任4年目にして初めてBリーグのファイナルズに届いたが、千葉ジェッツに敗れてしまった。 日本バスケの主要大会の決勝で、3回続けて負けたのだ。HCとして責任を感じた。 「オレは一生、優勝できないコーチなのかもしれない。それなら……」 辞任まで考えた安斎が、再び戦うことを決意した理由 ファイナルズ後に宇都宮へ戻る