袴田事件の凶器とされたくり小刀と同種の製品を見つめる押田茂実・日本大名誉教授=東京都新宿区で2024年10月8日午前11時36分、平塚雄太撮影 一家4人を殺害した罪で死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審無罪判決が9日、確定した。 第1次再審請求中だった31年前、有罪判決に異を唱える鑑定を出した法医学者の押田茂実・日本大名誉教授(81)は「もっと早く無罪にできた。裁判官は本当に科学鑑定に向き合ってきたのか」と、改めて憤りをあらわにする。 凶器とされたのは先端が欠けた小刀 「こんなに小さな刃物1本で4人も刺そうとする殺人犯がいるだろうか」 これまで約2000人の司法解剖をしてきた押田さんはそう言いながら、凶器とされた大工道具の一種であるくり小刀の同種製品を見つめた。 1966年6月、静岡県清水市(現静岡市)のみそ製造会社専務方が放火され、焼け跡から多数の刺し傷を負った一家4人の遺体が見つかっ