漁業の町として知られる鹿児島県阿久根市で近年、海藻がなくなる磯焼けが進み、特産のウニをはじめとする漁業資源の減少に悩まされている。そんな環境を改善しようと、従来は廃棄処分するしかなかった“厄介者”を活用する動きが広がってきた。海を守る助っ人となるか注目を集めている。 5月初旬、阿久根新港周辺の海に、木の枝や竹の束が次々と沈められた。海藻の代わりにイカの産卵場所となる「イカシバ」だ。 古くから漁に使われてきたが、投入した北さつま漁協青壮年部や市の目的は、産卵環境を整えて漁業資源を増やすこと。2008年から毎年、ウニ漁の繁忙期を終えたこの時期に取り組む。 これまでの間伐材や雑木の枝といった材料に加え、今回初めて市内の放置竹林で伐採したコサンダケを使った。投入してすぐにイカが集まり、8日後には竹の枝葉にたくさんの卵が確認された。産卵期が終わる7月下旬に引き揚げるまで、代わる代わるイカが卵が産み付