子どもに対して、「他の子と比べて叱る」「面前で激しい夫婦げんかを見聞きさせる」「長時間スマホを見せておく」といった行為をしたことはないだろうか。これらは「マルトリートメント」と呼ばれ、子どもの脳の健全な発達を阻む可能性がある。福井大学子どものこころの発達研究センター(福井県永平寺町)の友田明美教授に聞いた。 ▽脳が萎縮や変形 マルトリートメントは「不適切な養育」の意味で、一般的に想像する暴行や性的虐待、育児放棄のようなケースだけでない。友田教授は「子どもへの避けたい関わり方」と説明する。「虐待や不適切な子育てと言うと、親は心を閉ざします。一方でそうした行為は、子育て困難家庭からのSOSでもあります」と注意を喚起する。 友田教授は、米ハーバード大学と共同で脳のMRI(磁気共鳴画像法)検査でマルトリートメントが脳に及ぼす影響を調べた。例えば、体罰が続くと理性をつかさどる前頭前野の一部が萎縮する