『たんぽぽさんの詩』 「人情マンガを読む」と看板を掲げていながら、大切なマンガ家をひとり取り上げないままだった。 『三丁目の夕日』や『鎌倉ものがたり』で知られる西岸良平だ。 昭和30年代を舞台に、東京近郊の架空の町・夕日町三丁目で自動車修理店「鈴木オート」を営む鈴木家をはじめとした、貧しくも明るく懸命に生きる市井の人々を描いた『三丁目の夕日』も、昭和50年代の魔界鎌倉を舞台に、推理作家・一色正和と妻・亜紀子が難事件を解決する『鎌倉ものがたり』もいいのだが、人情マンガとして取り上げるなら、やはり『たんぽぽさんの詩 ほのぼの家族物語』だろう。 祥伝社の隔週刊女性誌『微笑』で1977年1月12日号から87年5月30日号まで全250話が連載され、単行本は、82年に祥伝社微笑コミックスから第1巻のみを刊行。その後、2001年に双葉社のアクションコミックで全5巻にまとめられた。 ちなみに、掲載誌の『微