日経の書評で紹介された「日本のソブリンリスク」を読んで、矛盾があるように感じた部分がある。それは、日本の社会保障について、「低受益、超低負担の国」と指摘しておきながら、終章で世代間格差の是正を強調しているところである。すなわち、高齢者世代が低受益しか受け取っていないにもかかわらず、なぜ、若年世代は大きな格差のつく「損」をしてしまうのであろうか。そこには、世代会計論の大きな欠陥が隠されている。 今回は、分かり易いように数値例で説明しよう。登場するのは、4世代である。(1)団塊の親世代、(2)団塊の世代、(3)団塊ジュニア、(4)団塊ジュニアの子世代だ。各世代は共通して10の給付を受けるものとして、どのくらいの負担が必要かを考える。各世代で異なるのは、人数である。順に、(1)200万人、(2)400万人、(3)400万人、(4)240万人としよう。 団塊の親世代は戦中派で、老後に何の蓄えも残せ