図1: ハッブル宇宙望遠鏡で観測された、クェーサーSDSS J1029+2623の3つのレンズ像 (A、 B、 C) および、重力レンズ効果をもたらしている銀河団に含まれる銀河 (G1a、b、 G2) の姿をとらえた合成カラー画像。 (クレジット:信州大学・国立天文台・カブリ IPMU) 遠方銀河の一部は、その中心に銀河全体の100倍以上もの光度を放つ中心核(クェーサー)をもつものがあります。そしてクェーサーからは大量のガスが吹き出しています。このガス流(アウトフロー)は遠方まで届き、周囲の宇宙空間や銀河の進化に大きな影響を与えます。アウトフロー自体は輝きませんが、クェーサー中心部からやってくる光を部分的に吸収するため、「影絵」のような原理を使って検出することが可能です (注5)。しかしこの手法では、アウトフローを特定の方向からしか調べることができないため、その内部構造は長らく謎に包まれて