世界の現代美術を牽引するプラットフォーム「e-flux」の創始者アントン・ヴィドクルが、みずからの出自であるロシアに立ち返った映像作品《ロシア宇宙主義》三部作が、ギャラリー・アサクサで公開された。すべてのかつて生きた人類を科学技術により復活させよ、そのあかつきには手狭になる地球を離れて宇宙へ飛び立て――このような奇矯なアイデアを唱えた宗教哲学者フョードロフに発する思想「宇宙主義(コスミズム)」。ロシア・ロケット工学の父ツィオルコフスキーもその影響下にあった。なぜいま宇宙主義なのか、e-fluxの活動との関係は――次回作のロケハンのため来日したヴィドクルに聞いた。 ──アサクサで拝見したあなたの《ロシア宇宙主義》三部作は、たいへん興味深いものでした。ご存知のように宇宙主義は、ソ連崩壊後のロシアで、キリスト教の復権にともない広く知られるようになった思想潮流です。例えば日本語訳もある、セミョーノ