国籍法改正案をめぐる疑義が、ようやく参院審議の段階で表面化した。衆院ではろくな審議も経ないまま通過してしまったのだが、一部の議員の指摘でその背後に隠された問題点が浮かび上がった。 この一件は、「人権」という言葉の前にはなんらの疑念もなく受け入れてしまう政治やメディアの実態を象徴するものといえる。 現行の国籍法では日本人の男性と外国人の女性との間の子どもの日本国籍取得について、両親が結婚しているか、生まれる前に父親が認知することを条件としていた。 最高裁が今年6月、フィリピン人の女性と日本人男性の間に生まれ、出生後に父親が認知しているケースについて、これが日本国籍を取得できないのは憲法14条の「法の下の平等」に反するという判断を下した。15人の裁判官のうち12人が違憲判断を示したのである。 これを法務省が受けて、自民党法務部会に改正案を提出、法務部会はろくに検討もしないまま認めてしま