2016 - 02 - 11 ポットン便所にサングラスを落とした俺が気づいたこと。 田舎から手紙が届いた。里帰りしたことがよほど嬉しかったらしい。俺に対する感謝の手紙だった。逆だ。本当は俺の方が感謝しなくちゃいけない。この里帰りは俺にとって大事なことを教えてくれた。手紙と一緒に入っていた一枚の写真。そこに写るおばあちゃんを見て、俺はハッキリと気づいた。 里帰りしたあの日。俺は東京駅で新幹線に乗り込むと窓の外をぼんやりと眺めていた。目の前が真っ暗だったのは、かけていたサングラスのせいだけじゃない。都会の生活にまったく光が見えなかったからだ。成功するまでは絶対に帰らない。そう決めて故郷を飛び出したはずなのに、現実は厳しく日々の暮らしを乗り切ることで精一杯。そんな息が詰まりそうな毎日に嫌気がさして、気がつけば故郷という振り出しに戻っていた。 今回の里帰りは都会を追われた負け犬の逃亡かもしれない。