日本将棋連盟TOP 将棋コラム 「固さからバランスへ、そして読みの重視へ」渡辺明二冠が平成で印象に残る羽生善治九段・藤井聡太七段との将棋を振り返る 私が将棋を覚えたのは平成2年頃。将棋界の年譜を見ると平成4年頃からプロの将棋を観戦していたように思う。私は平成12年に棋士になったのだが、それ以前の出来事で印象深いのは、もちろん羽生善治九段による七冠制覇である。テレビや新聞での報道を見ていて全冠制覇がとんでもないことなのは小学生だった自分にも理解できた。 私が初めてタイトル戦に出たのは平成15年。そういった意味では私にとって「平成の将棋界」とは、前半は見ていたもの、後半は参加したもの、となる。このコラムは「平成で印象に残る将棋」という趣旨なのだが、自分が出たタイトル戦の中では何と言っても互いに永世竜王を懸けた平成20年の第21期竜王戦七番勝負である。その中でも特に内容が濃かった将棋を紹介したい