学習・教育基盤としての図書館 はじめに 本稿では、原則として2005年以降を対象とし、「学習・教育基盤としての図書館」に関するわが国の研究文献(実践報告などを含む)のレビューを行う。雑誌論文・記事のほかに、図書や報告書なども取り上げることとする(1)。 近年は「利用者教育」もしくは「情報リテラシー教育」という視点が、図書館のもつ学習・教育支援機能の中心とされていた感がある。しかし学習・教育基盤としての図書館を考える場合、「学習の場としての図書館」や「学習を支援するコレクション」の視点も欠かせないものであると考えている(2)(3)。 また、「利用者(もしくは学生)の学習支援」と「大学・学校の教育支援」という機能的区別を明確にしておく必要がある。従来の情報リテラシー教育論では、この点が明確でなかったきらいがある。本稿では、学習の場としての図書館、学習を支援するコレクション、学習を支援する情報