日本近現代史の終着駅 本年、2022年は近現代日本にとってきわめて特別な年、節目の年であると筆者は見なしている。今年は、戦後×〇周年というわけではないし、明治維新から数えてキリのよい数字が浮かび上がるわけでもない。だが、考えてもみよう。戦後×〇年といったキリのよい数字は、歴史を思い起こすよすがとはなっても、その数字そのものに意味があるわけではない。2022年には、もっと内在的な意味がある。 このことは、2018年に上梓(じょうし)した「国体論――菊と星条旗」(集英社新書)において展開した議論なのだが、本年の重要性はあたかも2022年という数字が日本の近現代史の終着駅であるかのように立ち現れてくる、という点にある。それはなぜか。 「戦前」と「戦後」 私たちは、日本の近現代史の全体像をイメージする際に、ほとんど習慣のように「戦前」と「戦後」という区分を持ち込み、1945年の敗戦という出来事を近