福澤諭吉(1835〜1901年)が文久2(1862)年、文久遣欧使節の通訳として渡欧したさいに撮影された写真4枚がこの夏、オランダのユトレヒトで発見された。渡欧中の肖像写真はこれまでに十数枚が確認されているが、慶応義塾福澤研究センターの都倉武之さんは「諭吉の自由闊達(かつたつ)な気風がとらえられたとても興味深い写真」と話す。 竹内下野守保徳を正使とした使節は文久2年1月に長崎を発ち、フランス、イギリス、オランダ、プロシア、ロシア、ポルトガルをめぐり、約1年後に帰朝。使節はこの旅でユトレヒトの造幣局を訪問している。 4枚の写真は東京大学史料編纂所の谷昭佳さんが、ユトレヒトの貨幣博物館が所蔵する文久遣欧使節の写真31枚を収めた記念アルバムの中で発見した。1枚は諭吉を含む使節4人の大判集合写真(20・3センチ×15・2センチ)、3枚は諭吉単独の名刺判写真(10・5センチ×6・3センチ)。 大判写