デヴィッド・スタックラー&サンジェイ・バス著 『経済政策で人は死ぬか? 公衆衛生学から見た不況対策』 原題はThe Body Economic。「ボディ・ポリティック」を捩った、「ある経済政策の下に組織された集団。その政策に影響を受ける集合体としての国民(ないし人々)」を呼ぶための著者たちの造語であるが、サブタイトルのWhy Austerity Killsや邦題の方が内容をわかりやすく表しているだろう。 スタックラーは公衆衛生学と政治社会学を専門とするオックスフォード大学の政治経済学・社会学教授、バスは国連やWHOの仕事もこなす医師で、数学や統計学にも通じている疫学者でもある。 大恐慌時のアメリカ合衆国各州、90年代前半のロシアとその周辺の旧共産国、90年代後半のアジア通貨危機下でIMFの勧告を受け入れたタイ・インドネシア・韓国とそれを拒否したマレーシア、サブプライム問題やリーマン・ショ