シュルレアリスムにおける重要な概念のひとつに、「コラージュ」というものがある。今回は、この概念について説明するとともに、この連載タイトルでもおなじみの澁澤龍彦という大量のコラージュ作品を残した作家について紹介しよう。 ■コラージュとはなにか? 1919年、シュルレアリストのアンドレ・ブルトンが「作品の制作を主観による操作ではなく、客観に任せる」ために自動記述の実験を行ったことは前回書いた。そして、同時期にマックス・エルンストという画家は「コラージュ」という技法を用いて作品を制作している。 コラージュとは、まったく異なる素材(雑誌の挿絵等)を切り抜き、組み合わせる技法だが、主観的に素材を組み合わせることによって作品を制作するのではなく、組み合わされた素材が見せる作者の意図しなかった様相を客観的に楽しむことで、結果的に創造を行ってしまう行為のことである。この、「客観的に見る」ということがポイン
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