2012年に全世界を襲ったユーロの暴落はただでさえ悪化の一途をたどっていたフランスの経済にとどめをさすには十分すぎた。 2010年のギリシャの通貨危機を見るまでもなくユーロに対する信用不安は誰もが知るところではあったが、ドイツをはじめとする先進各国は一致協力して 財政再建を至上命題とし、ここ数年は国債の発行割合もかろうじて減少傾向を見せつつあったのである。 しかしただ一国、この財政再建に追随できぬ国家があった。 パーマネント5の一角でもある斜陽の大国―――――フランスである。 定年後にまで働きたくはない。 休暇と年金を削るな。 緊縮財政には断固反対。 雇用を守れ。 給料値下げ反対。 度重なるスト。 そして暴動。 移民に対するテロまでが横行した。 年金改革法と改正社会福祉法が弱者の切り捨てであると断じられ、廃案に追い込まれた時点でフランスの未来は決まっていたのかもしれなかった。 2012年8