2013年08月13日16:37 カテゴリ本 「思想」としての大塚史学 マルクスの人気はすっかりなくなったが、ウェーバーの人気はなぜか日本では衰えない。「大学教師が学生にすすめる本」として、いまだに『プロ倫』がトップになったりするが、これは少なくとも歴史研究としては古文書であり、バーマンのような最近の研究書では脚注に出てくる程度である。 日本でウェーバー研究の元祖となった大塚久雄もいまだに「近代化論」の巨匠とされるが、本書は彼が戦争に協力した事実を明らかにする。彼の1943年の論文では、フランクリンの労働倫理について「生産力の拡充を招来することによつて、結果として全体の福祉に貢献し、而して此の貢献に於いて自らの倫理性を証明する」ものだとして、全体(国家・公共)への奉仕を強調している。 ここには国家総動員体制のために「生産力」の拡充を求める「時局的」な配慮がみられるが、60年代に発表された改