引退馬の余生問題について、今回は随分と競馬ブログ界隈は盛り上がったが、このトピックはウェブ上ではかなり以前から現れては消える、恒例行事のようなものだ。そして、収束する方向も似たようなもので、①競馬は競走馬の淘汰なしには成立しない、 ②経済動物たる馬が淘汰されるの必然である、という前提を確認した上で、 ③故に現状を放置する、もしくは、④何らかの線引きをした上で一定数の命を永らえさせる方策を求める、ということになる。本来なら前提部分は軽く触れるぐらいで、現状放置派の人々は早く議論から離脱し、後者の立場から余生を確保する仕組みを考えるというのが時間とエネルギーを節約する道ではあった。だが、初めて引退馬の余生と向き合う人々が新たに出てくることを思うと、生命倫理に踏み込んで人々が問題と向き合うため、丁寧に階段を踏むのは悪いことでもない。次のステップに進むための、最初のガス抜きが終わったと思えばよい。