田中嗣浩●サントリー ウイスキー部課長。早稲田大学卒業。93年入社。午後5時からが仕事の本番! ハイボールを毎日飲み歩く。 ■どうせ置いたって売れないよ…… 「とりあえずビール!」 居酒屋でよく耳にする定番フレーズが、いま新しい飲み物に取って代わられつつある。30歳前後の若者世代を中心として、ウイスキーをソーダで割った「ハイボール」が一大ブームを巻き起こしているのだ。 仕掛け役となったのはウイスキー市場を長年牽引してきたサントリーだ。従来「一番おいしい比率」とされてきたウイスキーとソーダの「黄金比率」よりも薄く割り、レモンを搾った軽い味わいのハイボールを、大ぶりなジョッキで豪快に飲むスタイルを提案。これが見事にヒットして、主力商品である「角瓶」の今年上半期の出荷量は前年比で68%増加した。あまりの人気に出荷調整がされるほどの好調ぶりだ。国内ウイスキー市場全体の出荷量も前年比10%増加