エンジェルが自分の母親に殺されそうになったのは、11歳のときだ。 殺鼠剤(さっそざい)の粒を一握り渡され、「これを飲みなさい」と母親にせかされた。エンジェルは、あらん限りの声を張り上げた。近所の人が駆けつけてきて、エンジェルを母親から引き離した。エンジェルが母親に殺されかけたのは、これが2回目だった。 あれは10年前、この母娘がカウンセリングを受けはじめる前の出来事だ。いまエンジェルの母親は、娘のために紅茶をカップに注いでいる。2人は、電気が通っていないコンクリートの家で一緒に暮らし、夜は同じベッドで一緒に寝る。彼らを結びつけているのは、世界を戦慄させた負の歴史だ。 レイプで産まれた過去を背負って 1994年、ルワンダは約100日間のジェノサイド(集団殺戮)で国全体が崩壊した。約80万人が殺され、約25万人の女性がレイプされたと推定されている。ある慈善団体の試算によると、この大量レイプから
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