明治・大正期にかけて痛烈な風刺で反権力を貫いた、ジャーナリスト宮武外骨(みやたけがいこつ)(一八六七~一九五五年)による関東大震災の記録雑誌「震災画報」が文庫となり、筑摩書房(台東区蔵前)から出版された。震災直後から翌年まで六号が発行された画報の記事は、外骨の全集に収められているが、単独で復刊されるのは初めてという。 (川島美穂) 烈火をイメージさせる表紙や、手持ちの活字をかき集めて急ごしらえしたために大きさや形がバラバラの文字が並ぶ文章など、当時の雑誌の雰囲気を忠実に再現した。 「たずね人」の張り紙で覆われた上野の西郷隆盛像、皇居のお堀を風呂代わりに使う人、他人の土地に建てたバラックを売るつわもの‥。未曽有の非常時にもたくましく生きる庶民の姿がイラストとともに描かれている。