「うつ」は炎症で起きる エドワード・ブルモア著 藤井良江訳 ◆炎症が「うつ」を引き起こすという科学的証拠が積み上がっている うつ病はもっぱら心や脳の問題だと考えられてきましたが、このところ、身体の炎症によりうつ病になるという証拠が、多くの研究により示されています。このことが長年にわたり停滞気味だったうつ病治療の進展に革命をもたらそうとしています。本書はその「革命」の現状や意義、これまでの経緯を、精神医学の権威がわかりやすくまとめたものです。 本書で紹介されている研究結果は、驚かされるものばかりです。たとえば、9歳のときに血液中の炎症マーカーが高かった子は、18歳でうつ病になる確率がそうでない子の1.5倍という研究があります。高齢者でも、慢性炎症と言えるほど炎症マーカーが高かった60代女性の場合、その8年後にうつ病になる確率はそれ以外の人の3倍という結果が出ています。より短期間の影響としては