最近のスマートメディアによる音源は圧縮配信された結果、レコードやテープやCDに較べて、音の広がりや奥行きを感じさせる「定位」があいまいになり、どこにどの奏者がいるかわからず、どうも落ち着かないという声はよく聞く。スカイラインにおけるBOSEの新システムは、こんな悩みに対するひとつの提案としても興味ぶかい。 BOSEのシステムをよりよいかたちで体験するには、なるべく新しい音源を試聴盤として使うのがいいだろう、と僕は考えた。楽器構成が複雑で、音のダイナミックレンジもそれなりに広いものをと、佐渡裕とシエナ・ウインド・オーケストラがEL&Pの同名のアルバムを演奏した「タルカス」と、U2などとの共演でも知られるマリ共和国セグ出身のバセク・クヤーテの「セグ・ブルー」を聴いてみた。 するとなるほど、BOSEオートモーティブの説明どおり、クヤーテのボーカルが中央から出てきて、ンゴーニという弦楽器を中心とす