20歳の時に事故で右手と両足を失い、外出時に義足を使う山田千紘さん(31)は、電車に乗れば優先席に座ることも多い。その優先席で、忘れられない出来事がある。義足が見えなかったためか、別の乗客に「ここはあなたが座る席じゃない」と声をかけられたのだという。 その時、山田さんが抱いたのは「ありがとうございます」という気持ちだった。なぜ相手に感謝したのか。何を思ったのか。自身の体験と、優先席についての考えを山田さんが語った。 【連載】山田千紘の「プラスを数える」~手足3本失った僕が気づいたこと~ (この連載では、身体障害の当事者である山田千紘さんが社会や日常の中で気づいたことなどを、自身の視点から述べています。) 「違う席に移りなさい」 僕は障害等級が1種1級です。外出時は義足を履きます。駅まで歩くと、両足がある人よりもかなり疲労がたまり、足が凝ったり張ったりします。一度義足を外したくなるんです。