軍隊も無(な)い太平洋上の小さな島嶼(とうしょ)国家パラオが、強大な軍事力でアジア・太平洋の島嶼・海洋資源を次々に不法占拠する中国に対し正義を貫いた。違法操業を犯した中国漁民を「法に基づき起訴した」のだ。しかも、警告を無視した中国人を結果的に射殺して尚、正当性を譲らない。この報に接した瞬間、戊辰戦争で「武士の一分(いちぶん)=面目」を貫いた請西(じょうざい)藩(現千葉県木更津市)第3代藩主・林忠祟(ただたか)(1848~1941年)に、唐突にも思いを馳(はせ)せた。中国を恐れ、その違法に目をつぶるわが国はパラオと忠祟に学ぶがよい。(SANKEI EXPRESS)パラオと忠祟の気概 請西藩は1万石の小藩ではあるが、林家当主は正月元旦に、江戸城内で将軍から最初に杯と兎(うさぎ)の吸い物を賜る栄誉に浴する。林家の祖が、戦(いくさ)に敗れ流浪していた徳川家の遠祖を匿った際、貧しくて十分なもてなしが