イスラエルによるイラン攻撃は、アメリカのジョー・バイデン大統領をはじめとする西側諸国の首脳が恐れた激しいものではなかった。
<無策のまま核合意離脱を決めたトランプ政権――イラク戦争を上回る複雑な激戦への備えはない> イラン情勢が一触即発だって? 気にするな、事態の収拾は簡単だ――。アメリカにはそう考える人がいるらしい。 例えば、かつて北朝鮮の指導者・金正恩(キム・ジョンウン)がしたように、イランの指導者もドナルド・トランプ米大統領に「素敵な親書」を送ればいい。そうすれば(米朝関係が険悪だった頃に金が使った表現を借りれば)ホワイトハウスの「老いぼれ」は喜々として話し合いに応じるはずだ。 もし戦争になっても心配はないと考える人もいる。「2撃」で勝てる、「第1撃と仕上げの1撃」で十分だ。そう豪語したのはアーカンソー州選出の共和党上院議員で国防長官志望のトム・コットンだ。 残念ながら、どちらも救い難い無知の産物だ。前者はイランの政治を知らないし、後者はイランの地理も歴史も分かっていない。 まずは親書。確かにトランプは直
日本時間1月3日早朝、ドル円相場は2018年3月以来の安値となる1ドル=104.10円をつけた。米中貿易戦争、政府機関閉鎖、これらを受けたアメリカの金利低下やアメリカ株安への不安が強まっていた。そこへ、同日、アップル社が業績予想の下方修正を発表したことが、もともと投資家にあった世界経済減速の疑いを確信に変えさせた格好である。 しかも、下方修正の理由が「中国での販売不振」であったことも不安を一段と高めることに寄与したと見受けられる(ただし、スマートフォン市場の飽和感に基づいた下方修正であって、米中貿易戦争が直接原因ではないとも思われる)。その後、ドル円は買い戻され、本日東京時間午前では1ドル=107~108円を推移しているが、1カ月前に比べ水準は明確に切り下がった。 バブル崩壊にはえてして「分かりやすい号砲」が必要である。10年前の前回はそれがパリバショックやリーマンショックと呼ばれた。今回
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