オーエン・ラティモア『アジアの情勢』(小川修訳、日本評論社、1950年11月。原書The Situation in Asia は1949年刊)から引用する(前掲書、126~127頁。漢字は当用漢字に改めた)。「敗北を抱きしめ」たとされる戦後の日本社会に関する、簡潔にして明晰な説明だと思う。 <東京の政策は、第80議会〔注:アメリカ合衆国第80議会、1947年1月~1949年1月〕がまず近づくにつれて、またそれがはじまったのに件なって、反響を示した。(中略) この期間にあきらかとなったのは、日本の社会がまだ、ドイツの社会と同様に、病気の社会であるということであった。帝国主義というものは、ファッシズムに劣らず、なかなか根深い病気であった。立派な文句の憲法をつくったり若干の啓蒙資料を配付したりすることぐらいでその病気を治そうとしても、とてもできない相談なのである。帝国主義やファッシズムが一民族を