「人間天皇」を考える機会に 平成はあと3カ月余である。いわば代替わりである。近代以後の日本でこのように代替わりを落ち着きの中で迎えるのは、むろん初めてのことである。これまでは先帝の崩御、そして皇位継承者の即位という形であったから、心理的な痛みを伴いながら新天皇を祝うといった屈折した構図があった。メディアの報道も複雑な彩りであった。 しかし今回は新しい天皇の即位を気持ちのすっきりとした形で祝えるので、先帝への「ご苦労様でした」といった感情もそのまま表すことができる。当然ながら、元号の変化に伴う社会の空気もこれまでとは異なって落ち着いた空気になるであろう。このことは天皇のあり方を改めて考えるきっかけになると思われる。