この際、改めて最高賞の授与が決まった写真を見つめ、いじめの酷(むご)さと祭りの意義について、真摯(しんし)に考えたい。 主催者側の定見や節操のなさにはあきれるが、あえて責めまい。大事なのは、被写体の思いを受け止めることだ。 青森県黒石市の「黒石よされ実行委員会」が実施した写真コンテストで最高賞の市長賞に内定していた作品への授賞が、一度は撤回された。被写体の女生徒がいじめを苦に自殺したため、市や実行委は「祭りの写真としてふさわしくない」と判断したためという。 遺族は「いじめられても笑顔だった姿をたくさんの人に見てほしい。二度といじめをしないでという娘の願いを伝えたい」と実名と写真を公表し、市などの対応に批判が集中した。改めて会見した市と実行委は遺族に謝罪し、一転して市長賞の授賞を発表した。 女生徒は、青森市立中2年の葛西りまさん、13歳だった。公表された写真は、真っ赤な番傘をバックに踊る、り