新国立競技場問題で何度か名前を目にした建築家、ザハ・ハディド氏。イラク出身で現在は英国に在住している、気鋭の女性建築家です。しかし彼女の名前が、記事によって「ザハ氏」「ハディド氏」とばらついていたことにお気づきでしょうか。 この件では、新聞協会の用語懇談会でも「混在している」と回答する社が多く、明快な結論は出なかったようです。それもあってか、学生時代にアラビア語をかじっていた筆者も、「略すとすれば『ザハ』と『ハディド』のどちらが望ましいか?」という相談を受けました。率直に言って、なかなか答えづらい質問です。ただし便宜的な結論を出すだけなら、英語圏のメディアでは”Zaha”ではなく”(Ms.)Hadid”を主語にしていることが多いので、それに合わせて「ハディド氏」としておく方が無難……ということになるでしょう。 では、一体なぜ「答えづらい」のか?と申しますと、ザハ・ハディド氏の名前がアラビア