ブックマーク / shirooo305.hatenablog.com (42)

  • アニメと自動販売機、その風情について - Paradism

    ぼっち・ざ・ろっく!』5話のワンシーンについて - Paradism 先日更新した記事でもふれた『ぼっち・ざ・ろっく!』5話における自動販売機前のシーン。少女の心奥底に隠された感情の一片 (ひとひら) を照らし、その輪郭を浮き彫りにする舞台装置として自販機という存在がここまで美しく機能するのかと驚かされたばかりですが、その一方で自販機と青春性ってなんでこんなにもマッチするんだろうな、ということについては結構考えさせられました。青白く光るライトに感じる淡さとか、それこそ思春期特有の内省と陰影の相性とか。その辺りをうまく利用していたのが作なのはもはや言うまでもないんですが、でもそれって別に自販機に限ったことでは決してないですし、光と影の演出という点において言えば幾らでもやりようはあったはずなんです。でもやっぱり自販機なんだよなって感じてしまう。そういう感情が心の片隅にきちんとある。それこそ

    アニメと自動販売機、その風情について - Paradism
    kyuusyuuzinn
    kyuusyuuzinn 2022/12/02
    最近で言えば『よふかしのうた』も効果的な自販機の使われ方してたと思う。
  • 『ぼっち・ざ・ろっく!』5話のワンシーンについて - Paradism

    「成長って正直なところよく分からない」。そんなひとりのモノローグと一連の流れから差し掛かるワンシーン。住宅街であろう道に煌めく看板と自動販売機の中を淡々と歩くぼっちの姿は、そんな変わり始めていく景色の中で心だけが追いついていかないその心境を鏡の如くそこへ映し出しているようでした。ひとりと自販機の関係を縦位置で映せば逆光となり、そういった意味性はより顕著に。単純に逆光とかコントラストの高い画面って情感が出て良いよねという話で済む場面でもあるのでしょうが、この作品がここまで通底し描いてきたことを踏まえれば、やはりそこには "感情的な何か" を感じずにはいられず、彼女の内面に対し視線を向けずにはいられなかったのです。 それは虹夏がやってきてからのカットでも同様でした。逆光で映すことに意味のあるカットの連続。もやっとしていたものにスポットが当てられていく感覚。今この瞬間だけは "そこ" について考

    『ぼっち・ざ・ろっく!』5話のワンシーンについて - Paradism
  • 『ぼっち・ざ・ろっく!』1話の演出について - Paradism

    ファーストシーンにおけるままならさ、孤独感、色褪せた世界の質感。そこへひとりの語りも合わさることで、このシーンから彼女の出自や当時の感情を知るのはかなり容易なことであったように思います。"独り" であることへの屈とした想い。それを多角的な方面から演出するカメラワークやレンズ感。直接的に人の内面を画面に起こすことへの躊躇いは感じつつも、どのように描けばその内面をしっかりと伝えられるかに注力したフィルム。このアバンを前にしてはそう思わずにはいられないくらい、後藤ひとりという一人の少女の背景を非常に繊細に切り取ったシーンとなっていました。 例えば、スッとカメラの距離を離し、ロングショットで客観的に見た彼女の立ち位置を図ったり。マッチカットを使ったトランジションのシームレスさもそうですが、こういうカットの連続があるからこそ短い時間の中でもグッと受け手の感情を前のめりにしてくれるのだろうと思います

    『ぼっち・ざ・ろっく!』1話の演出について - Paradism
  • 『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会2期』2話のワンシーンについて - Paradism

    嵐珠のスクールアイドルに対する姿勢を介し、改めて彼女のパーソナルな部分やスクールアイドルに対する自分たちの在り方を考え始めるようになったエマたち。アイドルの数だけ答えがある様に、各々の立ち位置や見てきたものの違いから生まれる "それぞれの想い" を肯定するような映像になっていたことに、強く胸を打たれました。遊具を使った人物配置、視線の置き方も特異的で、見ているものや目指しているものの方向は違えど、それぞれの想いがやがて一つの方向に収束していく様はとても美しく映ります。それこそかすみが一人孤立するようなフレーム内フレームによる分断も描かれたりしましたが*1、それでもきっとこの時彼女が口にした「同好会は色んなアイドルが居られる、最高の場所」という言葉は作の根幹に成りえるものでもあったのでしょう。各々のアイドル像は違えど、その言葉に寄せる気持ちは皆等しくあるのだと。そういうスタンスをグッと前面

    『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会2期』2話のワンシーンについて - Paradism
  • 話数単位で選ぶ、2021年TVアニメ10選 - Paradism

    今年のアニメを振り返る意味も兼ね、今回もこちらの企画に参加させて頂きます。 ・2021年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。 ・1作品につき上限1話。 ・順位は付けない。 集計ブログ様:「話数単位で選ぶ、2021年TVアニメ10選」参加サイト一覧 選出基準は例年と同じく特に面白かったもの、感動させて頂いた話を選定させて頂きました。それ以外は上記のルール通り、放映季順、他選出順に他意はありません。敬称略で表記している箇所もありますが、その辺りはご容赦を。 ゆるキャン△ SEASON2 8話 「ひとりのキャンプ」 脚:田中仁 絵コンテ:金子伸吾 演出:相澤伽月 総作画監督:佐々木睦美 作画監督:近藤律子、北島勇樹、堤谷典子、遠藤大輔 ファーストカットが良い話数はそれだけで印象に残る、というのが個人的な指針の一つになってたりするのですが、この回もそんな例に

    話数単位で選ぶ、2021年TVアニメ10選 - Paradism
  • 『メイドインアビス』の縦の動き・レイアウトについて - Paradism

    メイドインアビス』はアビスと呼ばれる縦向きの穴の底に向かい冒険をする話ですが、こういった崖・絶壁を下っていく芝居へ贅沢にカットを使う、またそれを縦方向の俯瞰で撮ることに拘る、みたいなポイントは作の世界観やその奥行きの深さを伝えることに強い影響を与えていたと思います。舞台設定上、今回のファーストアクションがこういったシーンだったのも納得で、そこからロングでモヤの掛かる背景を映し、アップで原生生物も映す、という繋げ方も世界観の提示として凄く良かったと思います。 特に最後4カット目の俯瞰のカットが素晴らしいです。縦穴を降りていく物語だからこそよりそのイメージを強く想起させるカットになるのがこういった上から下への動き。またそれを俯瞰で撮ることによって手前から奥の動きにする、というのが巧みです。より底へ移動していく感じの強いカットになると思いますし、例えば歩きの作画でも手前から奥、またその逆の動

    『メイドインアビス』の縦の動き・レイアウトについて - Paradism
  • 『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』5話の演出について - Paradism

    あまりに印象的であり、引き込まれてしまった影中のファーストカットからの導入。振り返れば「誰かの心をぽかぽかさせることの出来るスクールアイドルになりたい」と日にやってきたエマの心情が鮮明に映し出されたシーンでした。それも "ぽかぽか"という言葉から連想される陽だまり、その中に飛び込んでいくよう描かれた彼女の踏み込みは、この虹ヶ咲学園がエマにとって光そのものであることをも強烈に描いていました。それはこれまで彼女自身がスクールアイドルの動画を見てその心を温めていたように、エマのこれからの物語を照らす輝きをもそこに映し出していたはずです。 ですが、そんな冒頭のシーンで描かれたのはエマの物語だけではありませんでした。想うがまま歩き続けた先に陽のあたる場所を見つけたエマのように、その後ろから同じようにこの場所へやってきた少女の姿が描かれたからです。それが朝香果林。エマにとってはおそらくこの学園で初め

    『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』5話の演出について - Paradism
  • 『小林さんちのメイドラゴンS』1話の演出、空の色について - Paradism

    全体の演出について、というよりは個人的に気になったポイントについて。まずはトールとイルルのアクション終わり、夕景のシーンについてですが、時間経過をしっかりと描いた上でその変遷がトール自身の感傷性に触れていく流れがとても素敵でした。それに加え「街を守ることを忘れかけた」と自省する彼女の心に、正面から歩み寄る小林さんをしっかりと捉えるシーンの出だし、二人のあいだに距離感を感じさせないことを前提として据えるようなカット運びも素晴らしいです。相手の影へ踏み込むほどに近づく、それをしっかりと描くことが、言葉数が決して多くはなかったこのシーンにおいてとても肝要だったのだと思います。 木々で二人を挟み込むレイアウトなどは、イルルが登場した際に描かれた木の影による分断に対する対義的なモチーフにもなっていて、1期から育み続けてきた彼女たちの関係を有無を言わさず包み込むような質感すらありました。 あちらこちら

    『小林さんちのメイドラゴンS』1話の演出、空の色について - Paradism
  • 最近観たアニメの気になったこととか3 - Paradism

    *1 もはや最近とは、という感じではありますが前回の記事から今までの間に観たアニメについて。まずは『虹ヶ咲学園』6話。侑の言葉に璃奈が反応したカット。「璃奈ちゃんのライブが観たい」「今はまだ出来ないことがあってもいいんじゃない?」と言われたことに対して瞬きで応じる芝居づけが当に素晴らしかったなと。派手な芝居では決してありませんが、感情をうまく表に出せない彼女の心の機微をどうにかして捉える、そこに重きを置くからこそこういう芝居が入るのがとても素敵です。 タメツメの効いたタイミング、その言葉が彼女にとっての救いであるからこそより力強い芝居にするため2回瞬きを入れる芝居のコンセプトがあまりに効いています。作画そのものとしての動きの気持ちよさもありますが、ここまでこのカットが印象深いものになっているのはそこに感情が在ると思えるからです。目は口ほどに物を云う、とはよく言ったもので、時に作画、芝居づ

    最近観たアニメの気になったこととか3 - Paradism
  • 『イエスタデイをうたって』3話ラストシーンの演出について - Paradism

    雨降りしきる中の喧騒から一転、少し落ち着きを取り戻した晴の心情を汲み取ったかのよう快晴から始まるラストシーンがとても情緒的に映りました。特に二輪車に跨り走る彼女の背を捉えたカットは素晴らしく、空へ抜けていく画の良さには強く胸を打たれました。まるで広大な空に対し、その存在の小ささを際立たせるようポツンとその身をフレームに収めるレイアウト。「コンビニに行かなくなったらそれで終わり」という彼女のモノローグにもあるように、それは彼女の孤独さや物語上における彼女自身の非力さにも由来していた見せ方でもあったのでしょう。 その中で特に印象的だったのは3D背景を含めた背景動画。バックショットの時*1もそうでしたが、彼女の背後に向かい景色が流れていくことを強く印象付けるカットで映像が繋がっていきます。これはきっと前述したような彼女の孤独さにも寄せる演出で、陸生と喧嘩別れした現状がこのまま続くのであれば、それ

    『イエスタデイをうたって』3話ラストシーンの演出について - Paradism
  • 話数単位で選ぶ、2020年TVアニメ10選 - Paradism

    今年のアニメを振り返る意味も兼ね、今回もこちらの企画に参加させて頂きます。 ・2020年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。 ・1作品につき上限1話。 ・順位は付けない。 集計ブログ様:ANINADO-「話数単位で選ぶ、2020年TVアニメ10選」参加サイト一覧 選出基準は例年と同じく特に面白かったもの、感動させて頂いた話を選定させて頂きました。それ以外は上記のルール通り、放映季順、他選出順に他意はありません。敬称略で表記している箇所もありますが、その辺りはご容赦を。 22/7 7話 「ハッピー☆ジェット☆コースター」 脚:大西雄仁 絵コンテ:森大貴 演出:森大貴 総作画監督:まじろ 作画監督:三井麻未、田川裕子、川村幸祐、木藤貴之、りお、凌空凛、飯野雄大 二人の少女を象る影と光の物語。どこまでも内省的で、感傷的で、その内側から見える光がどれほど彼女

    話数単位で選ぶ、2020年TVアニメ10選 - Paradism
  • テレビアニメOP10選 2018 - Paradism

    今年もこの企画に参加させて頂きます。放映季順、他順不同、他意はありません。敬称略含む。視聴した作品からのみの選出で、選出基準はいつもと同様 「とにかく好きなOP」 です。 宇宙よりも遠い場所 / The Girls Are Alright! 回転し、動き出すフレームを物語の幕開けに据えた作の根幹とも言える映像。散りばめられた兆しと少女たちの笑顔が弾けるよう描かれていく流れには、つい頬が綻んでしまいます。撮影も相まったエモーショナルな絵も多い一方で、自撮り風な女子高生らしさも顔を覗かせるのがポイント。感傷と友情の欠片を丁寧に、劇的に織り込んだまさに作品の代名詞足るフィルムになっていたと思います。 恋は雨上がりのように / ノスタルジックレインフォール タイトルバックの波紋に始まり、雨上がりのコンセプトで構成されていたであろう映像美。淡い色調にビビットな色味が重なりとても可愛らしい画面になっ

    テレビアニメOP10選 2018 - Paradism
    kyuusyuuzinn
    kyuusyuuzinn 2018/12/24
    楽曲だけなら青ブタが圧倒的に好きだけど、OP映像込みで見れば今年はゆるキャンがベストだった気がする。
  • 『SSSS.GRIDMAN』9話の演出について - Paradism

    不穏な空気を感じさせる警報音。多くの意味合いを含んでいたであろう信号と踏切。それは音響の側面とセルによって描かれた数多くのプロップ・情報量から世界観を描き続けてきた作の徹底したスタンスの延長でありながら、新しい予感を生み落とすモチーフとしても強く存在感を示していました。 怪獣、踏切、モブと奥から描かれたレイアウトもおそらくは同様で、遮断機と踏切が両者を “分け隔てる” という関係性は現実とは違う舞台を描いた話において大きな役割を果たしていたはずです。以降、幾度となくカットバックされた信号機のカットもそんな冒頭で描かれた物語の大枠を意識させるためのものであり、夢に揺蕩 (たゆた) い続ける話に対し違和感を差し込む役目も果たしていたのでしょう。それがさらなる緊張感を演出していたのは言うまでもなく、フィルム全体に異様な質感を与えていました。 また、分け隔てるという意味においてはこういったカッ

    『SSSS.GRIDMAN』9話の演出について - Paradism
  • 『SSSS.GRIDMAN』2話の宝多六花に寄る演出について - Paradism

    グリッドマン同盟なるものの発足の傍らで々とした表情を見せる少女、宝多六花。一話における戦闘の影響でクラスメイトが居なかったものとされてしまったことへのショックは隠し切れるものではなく、その心情を汲み取るレイアウト、陰影、距離感が非常にうまく表現されていました。視線誘導的な意味でも、明暗としても、心情的なテンションの差がとても明確に描かれています。もちろん裕太たちにとってもショッキングな出来事であったことには替わりないのでしょうが、おそらくは六花の方がよりその現実を自身が直面している体験として受け止めることが出来ていたのだと思います。 「もし同じ様にまた友達が死んでいたことにされてしまったら」「この世界から消えてしまったら」。ビール函越しのショットはテクニカルでありながらそんな彼女の仄暗い心情をより映していましたし、距離感をつけた切り返しのカメラワークもそういった想いを静かに映し出してくれ

    『SSSS.GRIDMAN』2話の宝多六花に寄る演出について - Paradism
  • 『ヤマノススメ サードシーズン』10話の演出について - Paradism

    7話から描かれ続けてきたあおいとひなたの擦れ違い。おそらくは、あおいの成長、交友関係の広がりに対して “遠ざかっていくような感覚” をひなたが覚えてしまったことが原因の一つになっていたのでしょう。どこへ行くにしても常に傍にいた存在が少しずつ “自分の居ない場所” へ足を向けることに抱いてしまう寂しさや戸惑い。互いを見続けてきた二人の関係だからこそ変化というものにはとても敏感で、どちらかが変わっていく分だけその間には少しだけ小さな溝が生まれてしまったのだと思います。 そして、話はそんな溝とそのせいで出来てしまった心的距離をとても繊細に切り取っていました。特に人さえまだ言葉にすることが出来ていなかったひなたの抱く感情を寡黙に、且つ雄弁に映し出してくれていたのは当に素晴らしく、冒頭から終盤にかけ彼女の想いを一つ一つ拾い上げていくよう紡がれたフィルムの運びは非常に感傷的でした。 冒頭で描かれ

    『ヤマノススメ サードシーズン』10話の演出について - Paradism
  • 『リズと青い鳥』鎧塚みぞれの仕草、掴むことについて - Paradism

    みぞれが髪を掴む仕草が描かれたのは、劇中でおそらく12回程*1だったでしょうか。寡黙にして映像*2で語ることが主体とされた作にあって、彼女のこの癖は強く印象に残り、決して多くを語ろうとはしないみぞれ自身の感情を映すものとして重要な役割を果たしていました。足や手の芝居、瞼、眼球の動きにまで心情の変遷・動きを仮託していた今作ですが、冒頭から終盤まで物語の転換点となる場面で描かれたこの癖はその中でも特に強調されていたように思います。 ただその仕草が具体的にどういった感情を代弁していたのか、ということまではハッキリとは分からず、むしろその描き分けはぼんやりと感情の輪郭を描くに過ぎませんでした。なにかを言い淀むように髪に触れ、掴み、心の中に留める仕草。それは明確な心情が芝居から滲み出る類のものではなく、“なにかしらの感情・言葉を心の内側に抱いている” と感じ取ることが出来るだけの芝居であり、そんな

    『リズと青い鳥』鎧塚みぞれの仕草、掴むことについて - Paradism
    kyuusyuuzinn
    kyuusyuuzinn 2018/05/02
    後で読む
  • 『リズと青い鳥』と微熱について - Paradism

    冒頭、鎧塚みぞれを中心に据えた描写から始まった作は徹底して内面を覗き込むような映像で構成されていました。浅い被写界深度、表情を伺うようなレイアウトの数々は言葉ではなく映像ですべてを物語るように繋がり、その瞬間瞬間にみぞれがなにを思い、考えているのかということを寡黙に語っているかのようでした。あらゆる芝居の機微に込められた情報量は言葉にするのも躊躇われるほどの多さと緻密さを誇り、彼女特有のアンニュイな表情も合わさることでより、みぞれの心情を深くそこに映し出していました。 しかし、転換期はみぞれが音大への進学を薦められ、パンフレットを受け取ったあとに訪れます。それまで一様にしてみぞれへ寄っていたカメラが希美を映し、彼女の心情にもそのフレームを寄せていくのです。ですが、それは作が『響け!ユーフォニアム』として描かれていた頃からなにも変わらずに続けてきた物語の分岐に他なりません。すべての登場人

    『リズと青い鳥』と微熱について - Paradism
  • 高雄統子演出の視線 『ダーリン・イン・ザ・フランキス』5話 - Paradism

    ゴローがヒロに視線を向けるカットの多さが目立っていたのは序盤。ヒロの変化やゼロツーとの関係を見つめる彼の目は特に印象的に描かれていました。レイアウト的にも巧く、どれもヒロとは目を合わせない位置に置かれ、さりげなく彼を見つめるスタンスが際立ちます。これまでもヒロの傍に寄る立ち振る舞いをしてきた彼ですが、おそらくは立ち直り始めたヒロを見守る役目を彼が担っていることも今回そういった立ち位置で描かれた理由の一つなのだと思います。ですが、きっとそれだけではなかったのでしょう。感じる違和感や、異変。そういったものを含めての視線。だからこそ印象的に映る “傍に居ながらのこの距離感” はかなり独特です。 事のシーンではイチゴに対しても同じような視線を見せます。バストショットから視線を横に映すと次のカットでカメラは引き、イチゴが前部に映る。ここでも丁度影にかかるイチゴのレイアウトが巧く、ゴローとの対比と距

    高雄統子演出の視線 『ダーリン・イン・ザ・フランキス』5話 - Paradism
  • 『ゆるキャン△』5話のラストシーンについて - Paradism

    *1 なでしこからリンへのオーバーラップ。当たり前と言えば当たり前ですが、これはアニメで加えられたオリジナルの描写です*2。景色を望む二人のバックショットを重ねるトランジションになっていて、その光景はまるで二つの視線 (見ているもの) をも重ねるように描かれた非常にエモーショナルなものでした。以前、原作を読んだ時は “それぞれの旅で見た、それぞれの景色” を共有し合う描写の多くに胸を打たれたわけですが、それをより色濃く描くための見せ方としてこれ以上はないのではと思うくらい、この演出には感動してしまいました。 決して珍しいトランジションではなく、むしろありふれたもの。けれど間と音楽を大切に扱い、この作品が持つ独特の余白と雰囲気を最大限に生かす作に至っては、やはりこれは秀逸な演出に他なりませんでした。じっくりパンアップする画面と、浮かび上がる “あなたが見ていた” 景色。画面上部に出来る空間

    『ゆるキャン△』5話のラストシーンについて - Paradism
    kyuusyuuzinn
    kyuusyuuzinn 2018/02/07
    第5話ほんと最高だった
  • 『エロマンガ先生』8話のフレーム内フレームと演出について - Paradism

    部屋から出ることが長い間出来なかった紗霧。親族との別れと心の傷が大きな要因であることは間違いないのだと思いますが、おそらく彼女は兄であるマサムネと向き合い、相手の気持ちを知るのが怖かったのだとも思います。自分に芽生えた恋心を受けとめて貰えるのか、同じ想いで居てくれるのか。そんな不安も彼女が足を踏み出せない原因に成り得ていて、だからこそ紗霧は常に扉一枚分ほどの壁を心に作っていたのでしょう。それは今回の話でも同様で、例え部屋に入れる仲にまでなっても彼女はまだ薄いベールで相手の心との間に一線を引いていたのだと思います。それは打ち上がる花火をしっかりと見つめるマサムネとの対比にもなっていて、だから紗霧はカーテンを引くことができない。それは直接的な描写として、彼女の “外(=相手の心)と向き合うことへの恐怖心” を現した表現でもあったはずです。 けれど彼女は力を込めカーテンを掴み、意を決して自らの

    『エロマンガ先生』8話のフレーム内フレームと演出について - Paradism